病気と向き合う話題 (産科・周産期)#PS1 「妊婦の喫煙は胎児の染色体を劣化させる。」
2016年3月11日
タバコからは4000もの化学物質が放出され,そのうち150種類は有害物質で,
そのまた60種は発がん物質と言われています。
当然妊婦さん自身に取っても有害きわまりないものです。
妊婦さんの喫煙は流産、早産,低体重児、常位胎盤早期剥離(陣痛前に胎盤が子宮からははがれ
胎児の低酸素が起こり易い疾患)や,赤ちゃんが生まれた後の新生児突然死亡症候群など、
好ましくないことが沢山引き起こされ易いことから,
妊婦指導では禁煙は重要なポイントになっています。
昨年米国の産婦人科専門誌に、胎児が間接的に胎内でタバコに被爆されると、
胎児の細胞の染色体の末端についているテロメアが確実に短くなって生まれてくることが
証明されました。
このテロメアは細胞の分裂回数を規定しているシステムで,これが短いと成長という
細胞分裂の回数が制限されることになり,
新生児から思春期の間だけとっても様々な病気を起こす原因となると考えられています。
成人でも運動の少ない人,食事のバランスの悪い人,喫煙者などで,
同じくレロメアの短縮化が起こり,細胞の老化をもたらし、
心血管系の病気や,アルツハイマー、癌や若くして死に至るような病気に関わることが知られています。
人生の始まり以前からのタバコの被爆が、様々な病気の原因を我が子にもたらすことが
重要な問題となっている中,タバコのない世界へ脱皮することが益々大切になって来ています。
勿論発育していく子供の環境の中に間接的に喫煙する事態も同じように大きな問題を引き起こしていることを
知るべきではないでしょうか。
波多江